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パッケージ

このハードボイルドは、
SD(すーぱーでぃふぉるめ)じゃ隠せない。


『ターミネーター2』という映画を観たことがあるだろうか?
妻が夕食の支度をしており、夫がアメリカンフットボールの中継に夢中になっているそんな平穏な夕食のワンシーンがある。しかし次の瞬間、妻の指は突如巨大な鉄の針と化して夫の頭蓋を貫く! 冷蔵庫に磔となり、ピクッピクッと痙攣を繰り返す夫。そう、妻はそま姿に擬態していたターミネーターT-1000だったのだ。

信頼をおいている人間が、実はその人ではなく「敵」。それはマジでブルっちまう極大の恐怖である。相手はこちらを常にうかがっているが、こちらは相手が敵だとは知らない。圧倒的不利な状況。ひょっとしたらアイツも敵なんじゃないだろうか? いやアイツに限ってそんなことは。そんな≪疑い≫によって人間社会を構成する信頼関係を崩すバイオテロ。それが、『 SDスナッチャー 』で描かれる2040年を舞台としたサイバーパンクなのだ。




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主人公ギリアンは記憶をなくした男。唯一覚えていた「スナッチャー」という言葉により、
対スナッチャー用特殊警察班JUNKERに配属される。原作と同じ設定。


 RPGとして生まれ変わった『スナッチャー』
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『 SDスナッチャー 』には原作がある。それが、1988年にコナミより発売されたサイバーパンクADV『 スナッチャー 』だ。この作品はいまや『 メタルギアソリッド 』シリーズの生みの親として有名な小島秀夫氏によるものだが、そのあまりの面白さにPC88、MSXユーザーが歓喜! ジャンル的に閉塞感のあったADVにおいて、エニックスの『 ジーザス 』とともに第三次ブームを巻き起こす火付け役となった。「伝説をつくった作品」─――『 スナッチャー 』がそう呼ばれるようになった理由は作品としての面白さだけではない。“未完”であったことも大きい。

謎のバイオロイド・スナッチャーと特殊警察班ジャンカー(鉄屑処理人)の戦いは、第二部において大きな展開を見せる。スナッチャーの人工皮膚の治療を行なう病院の爆破に成功するものの、それは仲間である賞金稼ぎ・ランダム・ハジルの犠牲があってこそのもの。さらに、ジャンカー本部にスナッチャーの襲撃を許してしまい、メカニックのハリーが殺されてしまう。オペレーターのミカを人質にとって攻撃を仕掛けるスナッチャーを撃退し、ミカを救出するギリアン。そこに、妻のジェミーから電話が…!「ギリアン、私、記憶が戻ったの!私たち、大変なことを!」。その映像の背後に映るスナッチャーの姿!「ロレイン博士は我々が預かっている…」。謎の言葉を吐いて消える映像。ジャンカー本部は壊滅。その裏で大きな作戦のために動き出そうとしているスナッチャーたち。風雲急を告げる中、震える拳を握り締め、ギリアンは決意を新たにする。「オレたちの戦いはまだはじまったばかりだ!」。そして始まるスタッフロール。ゲーム史上、ここまで物語を盛り上げて完結しない作品は類を見ません。かくしてユーザーは『 スナッチャー2 』のリリースを待ち続けるわけですが、ツンデレなコナミは、その回答として不思議な作品を私たちに指し示すのです。それが、サイバーパンクRPGとジャンルを変えた『 SDスナッチャー 』なのでした。


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原理主義者たちはこう言います。「スナッチャーのハードボイルドな雰囲気をぶち壊した『 SDスナッチャー 』は黒歴史だ」と。しかしそれは、正しいモノの見方ではないと私は思います。なぜなら、キャラクターがスーパーディフォルメしてもハードボイルドを貫いているのが『 SDスナッチャー 』であり、この作品はスナッチャーの世界観をRPGで楽しめるという可能性を、私たちに示してくれているからです。

さて。この『 SDスナッチャー 』という作品ですが、RPGが苦手なコナミにしては珍しくメチャクチャ面白いRPGです。まず敵であるスナッチャーたちは「人間に見つかることを恐れている」ため繁華街には現れません。逆に、廃工場や下水道といった人気のないところは彼らの独壇場。インセクターと呼ばれるメカを放って攻撃してくる。シンボルエンカウント方式のため敵を避けて進むことも可能ではあるが、すべての敵と戦っても戦闘回数は少なく、レベル上げという作業を感じさせないバランスがなかなかGOODです。

戦闘システムは非常に個性的です。敵に攻撃を仕掛ける際、攻撃箇所を選択。ここがこの作品のポイントです。例えば、アンテナのついている敵は仲間を呼ぶため、先にアンテナを破壊したほうが戦闘が長引きません。動きのすばやい敵は脚部やタイヤを攻撃して破壊すれば動けなくなります。強力な武器をもっている敵には早いタイミングでの武器破壊を狙う。このような戦略が必要となってくるのです。また、ギリアンが使用する武器にも特徴があり、一度に広範囲を攻撃できるモノや範囲こそ狭いものの攻撃力の高いモノなど、シチュエーションによって使い分けると便利です。他にも、走行系の敵にダメージをあたえるクレイモア地雷、電波かく乱によって敵に仲間を呼ばせないチャフグレネードなど、『 メタルギアソリッド 』でも登場するアイテムもチラホラ。力押しでは敵わなくても、攻撃箇所を考えた戦略で難局を突破する楽しさがあります。


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『SDスナッチャー』ではジャン・ジャック・ギブソンとコンビを組んで捜査をすることに。


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ちなみにサポートメカは、『プチ・メタルギア』。手のひらサイズだ。

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タレコミのあった倉庫には逆に時限爆弾が仕掛けられていた!スナッチャーの罠だ!

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間一髪、窓から脱出したギリアン。「ギブスンが危ない!」

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革新的だった『スナッチャー』の銃撃シーンを思い起こさせる戦闘システム。
どこを攻撃していくかで戦闘の難易度も大きく変わっていく。


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足跡をたどっていくと、ギブスンのサポートメカ・リトルジョンが無残なことに。

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さらに奥に進むと、そこには変わり果てたギブスンの姿が…!

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ギブスンの娘・カトリーヌにギブスンの死を知らせに行くギリアン。
ちなみに、SDでは愛犬アリスがいないためギリアンの「蚊取り犬」のボケはカットに…。15

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ギブスンがよく使っていた情報屋ナポレオンを探しにネオコウベの繁華街へ。
「旦那がやられたあっちゃ俺もそろそろヤバイな」と呻くナポレオンの予感どおり敵の強襲!


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絶体絶命のギリアンの前で、ピンポイント射撃でインセクターを粉砕する謎の男が出現!
「俺はランダム・ハジル。バウンティハンターだ」 はたして敵か味方か?


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新興宗教の教団本部に潜入捜査をするために、ギリアンは変装することに。
偽名は「ソリッド・スネーク」。


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原作でもお馴染みのスナッチャーたちがギリアンの前に立ちはだかる!

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メカニックの親父さんことハリーが裏切り者の手にかかって重傷に…!
「お前さんは、ワシの記憶にあるワシの父親にどことなく似ている…。
 さあ、行け! 最後のJUNKER…ッ!」


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まさか、お前もスナッチャーだったなんて!

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やつらの本拠地にはギリアンの妻ジェミーの量産型がうようよと。

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「RANDAM=HAJILE、ELIJAH=MADNARの逆さ読み…。
 フッ 父らしいな…」


ストーリーは、ほぼ『 スナッチャー 』を踏襲するカタチですが、中盤からはオリジナル要素も強まります。教祖がスナッチャーである疑いのある教団に潜入する際、ギリアンが変装として「ソリッド・スネーク」と名乗ったり。スナッチャーの本拠地と思われる遊園地に潜入すると、ランダムでパンダにコスプレしたランダムが現れたり。また自我を持ったスナッチャーの暴走というラスボスの展開も、RPGならではといえるでしょう。

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ギリアン「ランダム!? なんなんだ、その格好は?」
ランダム「こ、これはいや、その、敵をあざむくためのものだ!」


いろいろと書いてきましたが、私がこの作品でもっとも好きなところは「ドット絵で描かれた2042年のネオコウベシティ」です。非常に緻密に、4×4ドットマスで16色をふんだんに使ったパーツを作り、組み立てられた街は、ファミコンやスーファミ、PCエンジン、メガドライブ、ましては今のHD機では味わえない、MSXならではの魅力があります。そして奏でられるキンキンな金属音によるSCC音源による名曲の数々…。懐古主義というつもりではありませんが、ある時代、あるハードでしか作れなかったゲーム、それが『 SDスナッチャー 』の魅力である気がします。