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グラディウス_メインビジュアル

1.9.8.5. 宇宙 ガ マルゴト ヤッテキタ!


今回の発掘は困難をきわめた。相手はあのバブルシステムである。80年代中期、まだ1MビットのEPROMが高価であったため、大容量を省スペースで使用するために使われていたのがバブルメモリ。それらを搭載した基板をバブルシステムと呼んでいるのだ。バブルメモリは起動時に暖めなければ使用できないというやっかいな代物、かつ磁気バブルメモリの特性によりちょっとした衝撃でデータが文字通り“はじけ飛ぶ”。ここまで苦労しながらも我々が発掘しなければならない理由。それは、このROMに入っているゲームがゲーム史に名を残す名作だからに他ならない。その名は『グラディウス』。今やただのシューティングゲームのひとつという認識しかされていないこの作品が、いかに時代を変えたのかを語っていきたい。

さあ今宵も、時代に埋もれしレトロゲームの歴史を紐解いていこう――。




ブログ代表
こんにちは、レトロゲームレイダース/ジョーンズ博士です。

1985年の夏。それは、まだゲームセンターがインベーダーハウスという名前で呼ばれていた名残があった頃。駅前の寂れたゲーセンは狂気と退廃の吹き溜まりでした。店内はうす暗く、そしていつも煙草の煙が漂っているそんな場所は、本来ならば子供が立ち寄るべきではない領域といえたでしょう。

しかし、そこには色鮮やかな画面の点滅と軽快な電子音のBGMにあふれ、来たるべき“未来”があるようにも思えたものでした。

その場所で、かつて私は「宇宙」と出会いました。それが『グラディウス』です。今回発掘した作品は、コナミが1985年にアーケードゲームとしてリリースした横スクロールシューティングゲームの名作、『グラディウス』になります。







ビックバイパーグラディウスという物語
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はるか昔、遠い彼方にある銀河系で、ひとつの惑星が絶滅の危機に瀕していた。突如飛来した謎の軍隊バクテリアンの侵攻を受けたのである。バクテリアンは、膨大な無人戦闘兵器を有し、侵略した惑星を次から次へと有機生命体に変えていく。その目的や行動原理は不明。ただ、彼らの歩んだ道筋には、強力な生命力を持つ肉塊と化したバクテリアンの植民地が残るのみだった。

惑星グラディウスは、遠方宇宙への探索船が謎の消失を起こしたことを契機に、バクテリアンと交戦を開始。しかし、幾度となく行なわれた大規模戦闘にことごとく敗退したグラディウス宇宙軍はその度に植民惑星を失い、ついにグラディウス本星が狙われるのも時間の問題といえた。

有史以来最大の危機を前に、グラディウス人のひとつの奇跡を起こす。敵・バクテリアンから奪取した技術を用いた超時空戦闘機の完成である。“禁断の知恵を用いて勝利をもたらす者”、機体は「VIC-VIPEER(ビックバイパー)」と名づけられた。

漆黒の宇宙へ飛び立つビックバイパー小隊に課せられたのは、敵移動要塞ゼロスへの奇襲。無論、行き着くまでは数々の敵防衛網を突破しなければならない。しかし、進む以外、彼らに生きる道はない。小隊の動きを察知して敵編隊が向かってくる。グラディウス宇宙軍総司令官は、最初で最後の指令をビックバイパーパイロットたちに贈った。

「Destroy them all!(奴らを皆殺しにしろ!)」

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ビックバイパー人々を魅了したグラディウスの宇宙
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1.9.8.5.ウチュウ ガ マルゴト ヤッテクル。

これはアーケード版グラディウスのキャッチコピーです。このことからも分かるとおり、『グラディウス』がゲームプレイヤーにもたらしたもの、それは「宇宙」でした。

もちろん、それまでに宇宙を題材にしたゲームは他にもありました。かの『スペースインベーダー』もそうでしょう。『ギャラクシアン』も、『スターフォース』も、『ムーンクレスタ』だって宇宙を扱っていました。

しかし、それらと『グラディウス』は決定的な何かが違います。『グラディウス』が訴えかけてくる「宇宙」の妙な説得力はどこから生まれてくるのか。実は20年くらいずっとその答えを探し続け、最近ようやくひとつの結論にたどり着きました。

それは、『ムー』。

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きちんと説明をさせてください(笑)。

『月刊ムー』とは「学研」の名称でおなじみの学習研究社から発行されている「世界の謎と不思議に挑戦するスーパーミステリーマガジン」です。近年では勢いが弱まっているのですが、1980年代のムーはそれは電波ゆんゆんで、ペンフレンド募集のコーナーで、「アトランティスの光の戦士の記憶を持つ仲間を探しています。」といった投稿が何通もあるという感じの雑誌でした。

雑誌本編の特集も素晴らしく、ネッシー、ビッグフット、ヒマラヤの雪男、フライングヒューマノイド、オーパーツ、遺跡、UFO、異星人、宇宙の神秘など、そんな特集ばかりがなされていたのでした。そう、そしてここからが肝心です。

1970年から1980年代にかけてSFブームという時代があり、海外産のSFドラマという黒船が日本にやってきていました。『宇宙船ギャラクティカ』、『宇宙家族ロビンソン』、『謎の円盤UFO』、『スタートレック』…。また、国内でも『ウルトラQ』や『ウルトラマン』、『ウルトラセブン』が放映され、宇宙=常識を覆すような神秘があふれている空間、という公式が成り立つほどの説得力があった時代なのです。

そして、神秘といえば『月刊ムー』!

お気づきになられたでしょうか。グラディウスの宇宙たる各ステージを構成しているのは、ブラックマターと星のきらめきとメカだけではないことに。まさに、グラディウスならではという独特の世界観が構築されているのです。それを検証していきましょう。

まずは、ステージ01。重力を無視した画面の上下に大地のある構成はその象徴といえるでしょう。

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ステージ02と03にいたっては、「ストーンヘンジ」、「モアイ」。まるで私たちが知る地球の遺跡が外界からもたらされたと言わんばかりです。制作陣の中には熱心な『ムー』読者がいたに違いないと私は確信しています。このようなギミックを用いることで、神秘性のあるステージを作り出しているのです。

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ステージ04は「逆火山」。前半の敵の弾幕を潜り抜けていく攻防戦、後半の重力の法則を無視した逆火山といった怒涛の展開は、プレイヤーが持つ物理常識をことごとく打ち砕いていくのです。

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ステージ05、06では、「触手」や「細胞」が出現。これがまた、敵バクテリアンが我々と同じ人型の宇宙人ではなく、まったく得体の知れないもの。そして、我々の想像を超える“生命力”を持つ脅威であることを認識せざるを得ない演出がなされます。

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かつてナムコの『ゼビウス』は、ただの時間つぶしであったゲームに壮大な物語と設定を盛り込み、ゲームに創作物という“作品”に昇華させました。

『グラディウス』はその先を行き、独自の世界観を色濃く表現することに成功したのかもしれません。「グラディウスの宇宙」─―そこには他の作品では描けない魅力があるのです。



ビックバイパーパワーカプセル方式が広げた攻略の自由性
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シューティングゲームにおいて自機のパワーアップは外せない要素ですが、『グラディウス』では実に個性的なパワーアップ方法を取り入れています。それが、パワーカプセルによるパワーアップ方式です。

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編隊やレッドカラーの敵を撃破すると出てくるパワーカプセルは、取得した数によって任意のパワーアップをすることができる。1つなら「SPEED UP」、2つなら「MISSILE」、3つなら「DOUBLE」、4つなら「LESER」、5つなら「OPTION」、6つなら「BARRIER」。つまり、これまでの「弾が増える」アイテムを取ることでパワーアップするといった作品とは異なり、「今、そしてこれからどんな装備が必要か」を自分で考え、選択する自由が与えられているのです。

これはシューティングゲームの“革新”でした。なぜならば、プレイヤーによる選択によって、攻略方法も、難易度も、変わってくるからです。「あの人はここでミサイルを装備せずに機動力でカバーするのか」、「ダブルよりもレーザーを取って強行突破する気か」、「ゲエーッ、真っ先にオプションかよ」というように、プレイヤーの数だけゲーム内で起こるドラマが生まれました。

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さらに特筆すべきは、パワーカプセル方式によって、「一度やられてからの立て直し」がより面白くなったこと。敵の脅威に前に、無装備という絶望の闇を振り払うパワーカプセルという光明。解法はひとつではありません。「自分ならどうするか?」。一瞬の判断が分ける生と死。希望を積み上げられるものだけが先に進めるというゲームデザイン、絶妙です。(パターン化するとこの面白さは味わえにくくなります)

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『グラディウス』は、シューティングゲームという世界の中に「プレイヤーが介入できる要素」を多分に入れました。もはや戦局を左右するのは「シューターとしてのウデ」だけではない。プレイヤーが生み出す「戦略」も重視される。それは、横シューティンクゲームの新しい夜明けといえるものだったと私は思うのです。



ビックバイパー並行世界(パラレルワールド)による可能性
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『グラディウス』は初代アーケード版を中心に数々の移植作品が存在するのが、この多くはストーリー的なつながりがありません。惑星グラディウス、敵がバクテリアンといった共通事項こそあるが、それ以外はオリジナルであったりするのです。

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それらは、「もしかするとあったかもしれない戦いの可能性」であり、並行宇宙における戦いの記録としてグラディウス・サーガに組み込まれている点にも注目したい。特に、MSXにおける『グラディウス』の独自展開は秀逸であり、一度はプレイするべきだと提言します。

設定の一部に、『六神合体ゴッドマーズ』の影響を受けている箇所があるので、ついでに『ゴッドマーズ』も見てみましょう。

ゴッドマーズ


さて最後に、私なりのグラディウスのプレイ方法をご紹介しましょう。

用意するものは、「ある程度画面が大きいテレビ」、「オーディオコンポ」、「そこそこなヘッドホン」、「プラネタリウム」。部屋を暗くして、プラネタリウムで部屋全体に星を映写し、コンポでBGMを響かせて、ヘッドホンをつけて自分の世界に没入(ダイブ)する。コレ、最強です。お暇な方はぜひお試しください。


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