バンゲリングベイ_タイトル
お子様たちには早すぎた傑作!

ファミコン時代の理不尽ゲームの代表格としてその名をあげられることが多い『バンゲリング ベイ』。その正式名称は、「Raid on Bungeling bay(バンゲリング湾、強襲作戦)」。アメリカのブローダーバンド社の同作をハドソンが移植したものがファミコン版です。誤解されることが多いのですが、本作は実はすごく面白いゲームなのです。




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こんばんわ、レトロゲームレイダース/ジョーンズ博士です。

今回発掘した作品は、ハドソンが1985年2月にファミコンでリリースした全方位型シューティングゲーム『バンゲリング ベイ(ファミコン版)』になります。

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『バンゲリング ベイ』ストーリー
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西暦198X年。北アメリカ大陸から南に数百キロのカリブ海洋上。アメリカ合衆国海軍の誇る精鋭第2艦隊は、かつてない大規模な作戦演習下にあった。海軍・陸軍・空軍と国防総省の軍事化学研究チームの参加する大演習である。その主な目的は、

・新造空母の実戦性能演習
・新型の攻撃ヘリのテスト
・極秘のうちに改修されたQ型戦艦の護衛

これらの作戦目的は、艦隊の上級士官しか知らされず、また彼らも、それ以上のことは何も知らされなかった。

Q型戦艦とは、アメリカ海軍が21世紀の戦力として開発した史上最強の戦艦である。もともとは10年以上も前に建造された艦だったが、西海岸の造船所で改修を受け、最新の武装を身につけて生まれ変わったのだ。

その後、Q型戦艦はテスト航行のために数隻の巡洋艦とともに出港し、パナマ運河を通ってカリブ海へ。その武装は最重要機密とされ、艦長とこれを出迎えるために南下する第2艦隊司令官しか知らなかった。

Q型戦艦とランデブーするため、カリブ海Xポイントへ向かう第2艦隊。その艦隊司令官を務める男の名は、ジミー・ハーディー。その冷静な判断力と不屈の闘志により、「鉄の男」と呼ばれる海軍提督である。およそ70隻を率いるハーディー提督は、この演習に何やら不思議な胸騒ぎを感じていた。

提督の乗る旗艦は、建造されたばかりの空母ロナルド・レーガン。この世界最大の原子力空母と、世界最強の戦艦の出会いに、艦隊全員の胸をときめかしていた。だが、提督は不吉な予感を感じざるを得なかった。

カリブ海に散らばる無数の小島。その中を隊陣を組んだ第2艦隊が進んで行く。その最先鋒は、Q型戦艦とのランデブー海域に達しつつあった。

と、その時、

突如まばゆいばかりの白光が水面下に現れた。光は海上へとあふれだし直径10キロメートルほどの光球となって、みるみる艦隊を包み込んでゆく。やがて、光は艦隊すべてと、いくつかの島々を飲み込んでしまった。そして洋上には、頂きが上空5キロに達しようかという光の半球体が出現した。

その怪光は、遠くアメリカ南岸、フロリダ半島からも観測された。そして、第2艦隊からの全ての通信は途絶してしまったのである。

やがて怪光が消え去ると、後には「無」が残されていた。あらゆるものが存在しない暗黒の空間。黒い巨大なドームが、第2艦隊と島々をおおい沈黙していたのである。

第2艦隊に起こった異常は上空を飛ぶ空軍機からも観測された。だが、この海域の中へ入る事は不可能だった。直径10キロメートルのドームは、どのようなものも寄せ付けなかったからだ。

例えば、この暗黒空間に東の端から入ろうとした船は次の瞬間、西の端の外側にいる自分を発見していた。また、北から進入した空軍機は、一瞬のうちに南へと出現した。このようなワープ現象により、謎の空間の内側に入ることは、完全に不可能となっていたのである。

電波もまた同じであり、電波の反射によって物の存在を知るレーダーも、水中を音波により探知するソナーも使うことはできなかった。こうしてハーディー提督以下、第2艦隊の全艦は黒いドーム状の中、未知の空間に閉じ込められてしまったのだ。

空母ロナルド・レーガン。その全長は300メートルを超え、F-14、F-18をはじめ50機以上の艦載機を持つ。司令官ハーディーは悪い予感が現実のものになりつつあることを知った。

彼は未確認ながらも、核による攻撃を想定し、全ての乗組員に対核戦闘警報を発令した。ただちに艦全体がシールドされ、外部から隔絶された。この警報は第2艦隊全てに通報されたが、時すでに遅し。空母レーガン以外の艦はすべて船内にまで白光に満たされていた。

水中翼を持つ快速攻撃艇、陸軍の新型戦車M-1を積んだLST、同じく陸軍の野戦高射砲や対空ミサイル、野戦レーダーを積んだ輸送船、駆逐艦など第2艦隊の全てが光に包まれ、全員が光を浴びていた。

やがてこれらの艦の乗組員はみるみる未知の力により、何か人間でないものに変身していった。次に機械類の一切のコントロールが効かなくなった。こうして、空母レーガンを除く全ての艦隊は、正体不明の敵の前に脆くも崩れ去り、勇敢な兵士達も一瞬の内に倒されてしまった。

これらの超常現象は、演習のため上空にいたF-14戦闘機、F-18攻撃・爆撃機にも起こっていた。また、既に上陸演習のため島々に散開していた海兵隊や陸軍兵士の身にも、同じような不幸が襲い掛かり、彼らは尊い命を失った。

やがて、白光が消えた。

しかし、そこに広がっていたのは、目を疑うような惨状だった。空母レーガン以外の全ての艦隊勢力は、未知の暗黒兵団に支配されていたのである。その兵士達とは、ガイコツの骨格と、メカの内臓をもったサイバーダイン兵士たち。

シールドを解除した旗艦レーガン。だが、その視界に入ってきたのは、いくら無線通信で呼び続けても応答なく沈黙を守る第2艦隊の姿だった。それは、まさに幽霊艦隊。通信は海域の外からも、全く入ってこなかった。また、空母レーガンからの発信も全く届いていないようだった。

先ほど、謎の怪光に包まれた直径10キロメートルほどの海域。その周辺部は、薄明かりに照らされ、不思議にもその外を確認することはできなかった。どのような望遠鏡を使っても、その先を見ることはできないのだ。

このような常識を遥かにこえた超異常事態にあっても「鉄の男」ハーディー提督の冷静ぶりは、全く変わらなかった。一度はパニックを起こしかけた上級士官も、尊敬する提督ハーディーの落ち着きぶりを見て我にかえる。そして、自分達のうろたえぶりを恥じ、本当の海軍軍人魂を取り戻した。

提督は空母レーガンを180度転進させ、合衆国南岸に向けて脱出行につくことを決めた。この異常な現象下にあっては、とりあえず未知の海域から脱出することが先決と考えたのだ。機関室に命令が伝えられ、巨大空母は最高速力で北上を始めた。

一路、北へ向けて進む空母レーガン。異常な現象の起こる作戦海域を脱出して、合衆国海軍との通信を可能にしなけれはならない。そして、艦隊を再び結集して、未知の敵に反撃するのだ。その速力は40ノット。原子炉とタービン機関はフル回転していた。

だが、ここにもひとつ信じられない現象が起きていた。空母レーガンがいくら北進しても、いつのまにか同じ場所に戻ってきてしまうのだ。艦のコンパスは正常に動き、レーガンがピッタリと北へ向かっていることを示している。にも関わらず、同じ海域を堂々巡りしているのだ。

どうやら、未知の敵がこの海域全てを支配しているようだった。その敵は、空間そのものを歪ませているのだ。だから、いくら北へ進んでもいつのまにか南へと現れてしまう。ある、どこかの地点で、北の端と南の端がつなげられているに違いなかった。

このような考えられない異常事態に遭遇してもなお、ハーディー提督は落ち着いていた。だが、次の瞬間、さすがの提督も緊張せざるを得ない事態が起こる。空母レーガンの通信機に未知の敵から通信が入ったのだ。敵からのコンタクトだった。

敵は自らを「バンゲリング帝国」と呼んだ。

そのメッセージはVHF波で映像とともに送られており、艦内すべての乗組員は、各部所のモニターテレビを通じて敵の正体を知る事ができた。その姿は、まさに異様の一言に尽きた。彼らは生物機械人だったのだ。

バンゲリング帝国――それは恐るべき次元侵略者である。あらゆる次元、あらゆる空間を自由に移動することができる。そして、彼らの操る次元波動機は、空間さえも捻じ曲げることができるのだった。そう、この不思議な空間こそ、彼らが作ったバンゲリング界なのだ。

この空間は、北と南、東と西がその両端でつなげられている。そのため、いくら一方向に進んでも同じ所に戻ってきてしまう。

メッセージを送ってきたバンゲリング帝国の司令官は、もはや、とらわれの身となった空母レーガンに対し、降伏を勧めた。そして、彼らの目的を話した。

バンゲリング帝国の目的は、地球の制圧にあった。

彼らは、この緑多き自然の星を欲しがっているのだ。高度な科学技術文明をもつ帝国にも、ただひとつ失ってしまったものがあった。それは「自然」である。彼らは、自分達の体でさえも機械化していた。ガイコツのような体に、機械のようなむきだしの内臓。そんな機械化人間の彼らにも、自然を愛する心は残っていた。それゆえに彼らは、緑の星「地球」を欲しがったのだ。

バンゲリング帝国は、侵略の第一歩として前進基地を作ったという。それがこのカリブ海、正確にいえばカリブ海上と同座標にある異次元空間内に、である。彼らは捕獲したアメリカ軍の兵器をモデルにして、帝国軍の超科学工場で無限増殖を開始。無限増殖とは、生命のない機械に生命を与え、これをクローン培養によって無限に増やす超科学だった。

バンゲリング帝国の兵器に比べれば、地球の兵器などオモチャのようなもの。だが、超兵器を使えば地球の自然さえも破壊してしまう。そこでバンゲリング帝国は、地球人の兵器で、地球人を滅ぼすことを決めたのだった。

司令官は語る。まもなくバンゲリング界の小島に作られた6工場で、F-14戦闘機やF-18攻撃・爆撃機をはじめ、多くの兵器がクローン生産される。そして機械化人間であるバンゲリング兵士も、この6工場で無限増殖されるのだという。

また、この大変動で行方の知れなかったQ型戦艦も既に彼らの手に落ちていた。最新の装備をもつ、この戦艦もまた、ある島のドックでバンゲリング改装を受けているのだという。

こうして今までの超常現象の全ての謎は明らかにされた。敵司令官によれば、おとなしく帝国に降伏すれば命だけは保証するという。無限に増殖を続ける敵を相手に、勝利の見込みはない。

帝国からのメッセージが終わった。人類にとって1つの希望もない最後通告。全ての乗組員の表情は暗かった。さすがの鉄の男も、長く沈黙せざるを得なかった。永遠とも思える長い熟考のすえ、ハーディー提督は、マイクを取り、その決断を乗組員全体へ伝えた。

「諸君! 戦おう」

館内にどわめきが起こる。しかし、それはハーディーの次の言葉によってさえぎられた。

「遺憾ながら、敵戦力は我々のものをはるかに凌ぐ。万に一つの勝ち目はない。通常の作戦ならば、その選択をするのは司令官として失格だろう。しかし、事態は我々の想像を超えて深刻だ。敵は強大な侵略者だ。私たちの地球を侵略するだけの力を持っている。

今、ここで降伏することはできる。しかし、敵の牙は祖国に、君たちの家族に、愛する人たちへと間違いなく襲いかかるのは間違いない。私たちがここで抵抗することで、彼らの世界侵略開始までの時間を少しでも延ばせるかもしれない。Q型戦艦を運良く破壊できるかもしれない。たとえ、これらが全て失敗に終わっても、この最新空母レーガンを敵に渡すことだけは避けられるだろう。

勝ち目はない。だが、希望を託すことはできる。それができるのは、今、ここにいる私たちだけだ。みこの人類の未曽有の危機の前に、命をかける価値がある戦いだと私は思う。だから、諸君らの命を預からせてほしい」

ハーディー提督の最後の言葉が終わった時、艦内は熱気と興奮に包まれていた。全将兵は、自信を取り戻し、合衆国への忠誠のため戦うことを決意した。

空母に残された艦載機は、わずかに新型ヘリが5機。攻撃ヘリ・シーアパッチ。陸軍の誇る地上攻撃ヘリ、アパッチを空母用にしたものである。バルカン砲と9発の爆弾を持ち、ジェット戦闘機なみのスピードで戦場を飛ぶ。空母から飛び立ち、沿岸の島々や船を攻撃するため、その航続距離も長くなっていた。

こうして、ハーディー提督率いる空母レーガンは、アメリカ第2艦隊の名誉をかけて戦いを展開する。その名は、「Raid on Bungeling bay(バンゲリング湾、強襲作戦)」

「栄えある第2艦隊旗艦、空母ロナルド・レーガンの全将兵に告ぐ!これより、飛行戦闘隊による敵工場攻撃作戦に入る!これは演習ではない!くり返す、これは演習ではない!」


※注意※
上記ストーリーは公式のものではありません。バンゲリンガーの必読書といわれている『ケイブンシャ大百科別冊 ファミリーコンピュータゲーム必勝法シリーズ3 バンゲリングベイ』内にあるストーリーを一部改変したものです。こま作品をグッと気持ちを上げてプレイするのに一番いい選択と、このブログでは判断し、紹介させていただきました。



早すぎたストラテジーシューティング!
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ゲーム内容を理解していただくために先にストーリーから紹介させていただきましたが、『バンゲリング ベイ』はゲームジャンルを付けにくく、あえていうなら「ストラテジーシューティング」というべき代物です。

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バンゲリング帝国は、カリブ海上にある異次元内に9~10の島を有しており、島々には合計6つの工場があります。これをすべて破壊することが、このゲームの目的です。このように書くと、「すごくカンタン!すぐに終わりそう!」と思われるかもしれませんが、そうはバンゲリング(問屋)がおろしません。

自機であるシーアパッチの武器は、弾無限のバルカン砲と9発搭載できる爆弾。工場破壊には爆弾を用います。

そのため、工場を見つけたら爆弾を落として破壊。爆弾の補給は、空母に戻るか、敵の駐機場に着陸して行ない、次の工場を探すという流れに。

ここで問題になってくるのが、こちらはバンゲリング帝国内の地形と敵戦力の配置を知らないということ。加えて、マップが広い。ゆえに、ゲーム進行のためには、マップを飛び回り、どこに敵の戦車や哨戒艇、高射砲、レーダー(飛行部隊を呼び寄せる)が配置されているかを把握する必要があるのです。なぜなら、交戦になると無傷ではすまないから。自機には耐久力(HP)があり、ダメージを受けすぎると操作不能&墜落。そのため、敵との戦いは可能なかぎり避けるべき。リアリティあふれるゲームデザインなのです。

さらに、バンゲリング帝国はこちらの攻撃を受けて待ってくれるような、やる気のない風俗嬢タイプではありません。攻めてきます。依存系メンヘラ女子の夜の営みのように攻めてきます。そのため、シーアパッチが帰るべき空母に、飛行部隊の強襲がランダムで発生。弾幕薄いぞ何やってんの的なロナルド・レーガンは、放っておくと撃沈されてしまうので、衝撃を受けた知らせをもらったら帰還&戦闘しなければなりません。

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さらにさらに、ゲーム内の時間経過によって、バンゲリング帝国の工場はこちらの襲撃に備えて防御力が高くなっていき、一度の爆弾運搬では破壊できなくなっていくという。

他にも、敵に捕縛されたQ型戦艦の重力波兵器Qシステムを用いた誘導ミサイルは、一撃でロナルド・レーガンを静めてしまうため、Q型戦艦製造ドック周辺をレーガンが通過する際には、ドックを攻撃してQ型戦艦の機能を停止させなければならないなど。きちんとナレーションや状況説明が入ったら、かなり面白いゲームに化ける可能性を秘めています。

実際、ほぼ同コンセプトで後年に発売された『デザートストライク』は、傑作といえる出来ですからね。


いかがでしょうか。

地形と敵の配置を把握し、攻撃順序の計画を立てて、それでも突発的に起きるトラブル対応にフレキシブルに対応していく。プレイしてきた経験知が確実に作戦遂行の役に立ち、最終的に不可能といえる反攻作戦を成功に導くというのが、『バンゲリング ベイ』の真骨頂。

そう、大人がじっくり取り組むべきゲームといえるでしょう。

ちなみに、1985年発売のファミコンソフトですからね。早すぎた名作というやつでしょう。ちなみに、このゲーム内の時間経過と施設発展といった人が住んでいる生活を感じられる点が面白いと感じた開発者は、後に『シムシティ』をつくるウィル・ライトさんです。


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